ChatGPTでメイクの試着ができる時代に?ロレアル×OpenAI提携を暮らし目線で整理

 

「化粧品メーカーとAI企業が組んだ」と聞くと、少し遠い世界の話に聞こえるかもしれません。でも今回ロレアルとOpenAIが発表した提携は、わりと身近なところに関わってきそうな内容でした。ChatGPTで化粧品を選んだり、試着したりする日が、思ったより近いかもしれません。

この記事の結論
ロレアルとOpenAIが提携し、メイベリンなどのブランドがChatGPT上でメイクのバーチャル試着を提供し始めます。AIが「情報を調べる道具」から「身支度や買い物に直接関わる相棒」へと一歩近づいた事例です。ただしロレアルはOpenAI一本に絞ったわけではなく、複数のAIを併用する戦略を取っています。

ロレアルとOpenAIが組んだのは何のため?

2026年6月、フランスのロレアルはパリで開催された技術イベント「Viva Technology 2026」で、OpenAIとの協業を発表しました。

協業の柱は大きく2つです。ひとつは、ChatGPT上で商品を選んだり購入したりする「エージェンティック・コマース」と呼ばれる消費者体験づくり。もうひとつは、研究開発やマーケティングといった社内業務をAIで効率化していく取り組みです。

化粧品ブランドというと、店頭やCMでの訴求が中心というイメージがあるかもしれません。それが今、検索や会話の延長線上で商品に出会う形に変わりつつあります。

ChatGPTでメイクを試着できるってどういうこと?

具体的な動きとして、メイベリン ニューヨークが、ChatGPT上でメイクのバーチャル試着機能を提供すると発表しました。もともとメイベリンが持っている「ModiFace」というバーチャルメイク技術を、ChatGPTのインターフェース上で使えるようにする形です。

ChatGPTは週に9億人以上が利用しているとされていて、その規模の中に「メイクを試す」という体験が組み込まれることになります。これまでアプリやブランドサイトに行かないとできなかったことが、普段使っているチャットの中でできるようになる、ということです。

スキンシューティカルズやセラヴィ、ガルニエといったブランドも、ChatGPT上の広告の試験的な取り組みに参加するとされています。買い物の入口として、ChatGPTという場所が少しずつ意識され始めている段階だと思います。

肌の研究にもAIが入り込んでいる

今回の提携では、消費者向けの試着機能だけでなく、研究開発の領域でもAIが使われています。

ロレアルは「GPT-Rosalind」という推論モデルを使って、肌のマイクロバイオーム(肌に住む微生物の集まり)を分析する取り組みを進めているとのことです。ラ ロッシュ ポゼといったブランドの、次の世代のスキンケア製品開発につなげる狙いがあるようです。

普段使っている化粧品の裏側で、こうしたAIによる研究が静かに進んでいるというのは、なかなか想像しにくい部分ですが、地味に大きな変化だと思います。

「OpenAI一本化」ではなく、複数のAIを使い分ける戦略

ここで少し補足しておきたいのが、この提携が「ロレアルがOpenAIに全部任せる」という話ではない、という点です。

ロレアルは今回の発表に先立って、自社の生成AIプラットフォーム「CreAItech」が、Google、Adobe、Seedanceなど複数のAIモデルで動いていることをすでに説明しています。さらに2026年3月にはNVIDIAとのAI関連の提携拡大も発表していました。

つまり実態としては、用途に応じて複数のAIベンダーを使い分ける「マルチAI戦略」の中に、OpenAIとの協業がひとつ加わった、という構図に近いです。ひとつの会社に全部委ねるのではなく、得意分野ごとに組み合わせていくやり方は、今後の企業のAI活用としても参考になりそうです。

暮らしの中でAIとどう付き合うか

今回の話を見ていて感じたのは、AIが「質問に答えてくれる存在」から、「買い物や身支度の途中に自然に登場する存在」へと、少しずつ役割を広げているということです。

メイクを試す、肌に合う製品を探す。こうした日常の小さな判断に、知らないうちにAIが関わるようになっていく。便利になる一方で、「これはAIがすすめてきたものなんだ」と意識しておくことも、これからは必要になってきそうです。

AIエージェントが日常生活のどこまで関わってくるのか。Next Agentでも、こうした「気づいたら身近になっていたAI活用」を、これからも整理していきたいと思います。

まとめ

ロレアルとOpenAIの提携により、ChatGPT上でメイクのバーチャル試着ができるようになり、肌研究にもAIが活用され始めています。ただしこれはOpenAIへの一本化ではなく、複数のAIを使い分けるロレアルの戦略の一部です。AIが情報収集の道具から、買い物や身支度に関わる相棒へと近づいている一例として、今後の動きも見ていきたいと思います。


参考:ロレアル公式発表、OpenAI公式サイト、各種報道をもとに整理

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