AI副業案件を351件数えた実測記録 報酬中央値・応募倍率・非公開率

「AI副業は稼げる」と書かれた記事は無数にありますが、実際の案件がいくらで募集されていて、何人が応募しているのかを数えた記録はほとんど見つかりません。そこで2026年7月30日、クラウドワークスに掲載されているAI関連案件を7つの検索語で合計351件集計し、報酬額・応募者数・契約状況を記録しました。

結論を先に言うと、初心者向け記事が最も勧める入口が、実測では最も競争が激しく、かつ条件が最も不透明でした。以下、数字だけを並べていきます。

何を、どう数えたか

  • 調査日:2026年7月30日
  • 対象:クラウドワークスの公開案件検索結果
  • 検索語:「ChatGPT 記事作成」「AI 画像生成」「AI 動画編集」「プロンプト」「AI チャットボット」「AI 文字起こし」、および対照群として「記事作成」(AI指定なし)の7語
  • サンプル:各検索語の関連度順1ページ目(50件前後)× 7語 = 合計351件
  • 記録項目:依頼形式、報酬額の下限・上限、報酬額が公開されているか、応募者数、契約状況(採用済み人数/募集枠)

報酬額が「要相談」「契約金額非公開」となっている案件は、金額の集計からは除外し、代わりに「非公開率」として別途カウントしています。この非公開率が、今回いちばん示唆的な数字になりました。

カテゴリ別の実測値

検索語掲載総数報酬額の開示率報酬額の中央値応募数の中央値応募数の最大
ChatGPT 記事作成1,797件30%5,500円26人187人
AI 画像生成3,162件70%1万〜3万円9人41人
AI 動画編集7,900件72%1万〜3万円8人34人
プロンプト2,714件72%1万〜3万円9人74人
AI チャットボット363件86%825円11人2,050人
AI 文字起こし781件56%3,900円10人231人
記事作成(対照・AI指定なし)14,582件10%1万円21人73人
クラウドワークス公開案件、2026年7月30日時点、n=351。報酬額の中央値は金額が開示されている案件のみで算出。

実測から出てきた3つのねじれ

1. ライティング系だけ、応募者数が約3倍

「ChatGPT 記事作成」の応募数の中央値は26人。対して画像生成9人、動画編集8人、プロンプト9人、文字起こし10人でした。つまりライティング系案件は、他カテゴリの約2.6〜3.3倍の応募者と競合することになります。

一方で掲載総数を見ると、AI動画編集が7,900件に対してChatGPT記事作成は1,797件。案件の絶対数は動画編集のほうが4倍以上多いのに、応募は記事作成に集中しています。「AI副業はまずライティングから」という定番の入口案内が、需給のミスマッチを生んでいる可能性があります。

2. 報酬を隠す案件ほど、応募が多い

報酬額の開示率は、画像生成70%・動画編集72%・プロンプト72%に対して、ChatGPT記事作成は30%、AI指定なしの「記事作成」はわずか10%でした。ライティング案件の7割から9割は、応募する時点で報酬額が分かりません。

そして開示率が低いカテゴリほど応募数の中央値が高い(記事作成21人、ChatGPT記事作成26人 対 他カテゴリ8〜11人)という関係が見えます。金額を確認せずに応募している人が相当数いる、と読むのが自然でしょう。単価交渉の余地があるとも言えますが、実際に開示されている案件の中央値が5,500円である以上、期待値を上げる根拠にはなりません。

3. チャットボット案件は、825円と10万円超に割れている

「AI チャットボット」は今回いちばん歪んだ分布でした。固定報酬制の40件のうち34件が1万円未満で、中央値は825円。中身を見ると、チャットボットの回答を評価する・会話ログを分類するといった単発の細かい作業が大半です。応募2,050人という案件も、この種のタスク型でした。

ところが同じ40件の中に、10万円以上の案件が3件、5万円以上が6件混ざっています。こちらはボットの設計・実装側です。同じ「AIチャットボット案件」という言葉が、報酬で二桁違う二種類の仕事を指しているわけです。カテゴリ名で案件を探すと、この差が見えません。

全体の64%は、まだ誰も採用されていない

351件のうち、契約済み人数が0人の案件は224件、全体の64%でした。応募が26人集まっていても採用0という案件が並んでいます。

これは二通りに読めます。発注側が選別に時間をかけている(=応募しても返信がないことが多い)か、そもそも本気度の低い募集が一定数ある、のどちらか、あるいは両方です。今回のデータだけでは切り分けられません。ただ「応募すれば順番に仕事が回ってくる」という前提は、この数字とは合いません。

この数字から言えること、言えないこと

言えること

  • AI関連のライティング案件は、他のAI関連カテゴリより明確に応募者が多く、報酬額が事前に分からない比率も高い
  • 案件の絶対数では動画編集・画像生成のほうが多い
  • 同じカテゴリ名の中で、報酬が二桁違う仕事が混在している(特にチャットボット)
  • 応募が集まっている案件でも、採用に至っていないものが多数ある

言えないこと(この調査の限界)

  • 1日のスナップショットです。季節性や曜日による偏りは補正できていません
  • 関連度順の1ページ目のみで、無作為抽出ではありません。プラットフォームの並び替えアルゴリズムによる偏りが入っています
  • クラウドワークス1社のみです。ランサーズや直接契約は含みません
  • 報酬額は募集時点の提示額で、実際の成約額ではありません
  • 文字単価に換算していません。募集文中の想定文字数の記載がばらついており、統一して比較できませんでした
  • 対照群「記事作成」は報酬額の開示案件が5件しかなく、中央値の信頼性は低いです。同群については開示率と応募数のみ参照してください

数字が独り歩きしないように書いておくと、これは「AI副業は稼げない」という結論ではありません。「入口として案内されている場所と、案件が実際に積まれている場所がずれている」という一点だけが、今回のデータで確認できたことです。

再現手順

同じ集計は誰でもやり直せます。クラウドワークスの公開案件検索で上記7つの検索語を入力し、関連度順の1ページ目について、各案件カードに表示されている「依頼形式」「報酬額」「応募数」「契約状況」を記録するだけです。ログインは不要で、有料ツールも使いません。50件×7語で、慣れれば1時間程度です。

数字は日々動きます。この記事の値は2026年7月30日時点のものとして扱ってください。次回は同じ手順で1か月後に再測定し、変化を追う予定です。

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