
AI(Claude)と Blender で、ブラウザで遊ぶ「見守り型」のギルド経営シミュレーションを作り、note で売るところまで進めました。3Dで描いたミニチュア人形の部品をゲームの中で色を塗って重ねる作り、5年分の世界を回す仕組み、ボットに5年遊ばせるテストと、別のAIの点検・校閲で直したことを書きます。
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作ったもの
『冒険者ギルドの受付嬢』という、ブラウザで遊ぶシミュレーションゲームです。

- あなたは辺境の町の冒険者ギルドの受付。できるのは、受付に来た冒険者に依頼書を一枚すすめることだけ
- 冒険者は勝手に育ち、組み、恋をし、ときにもめて宿敵になり、夢をかなえて引退すると町に自分の名前の店を開く。そして、ときに帰らない
- 北の火の山で竜が目を覚ましつつあり、5年目の冬に襲来する。それまでに育てた冒険者と町の守りで結末が決まる
- 季節の終わりには「ギルド通信」が出る。名を上げた人、新しく来た人、昇格、結婚、訃報。自分のギルドだけの新聞が5年分たまる
体験版(1年目の冬の終わりまで)は無料で、製品版(5年目の結末と、その後も続けられるエンドレス)は note で500円で売っています。DLsite でも販売する予定です。
どちらも HTML ファイル1枚です(約4.7MB。絵と書体を埋め込んでいるので、はじめて開くときは読み込みに少し時間がかかります)。音楽7曲と効果音12は Web Audio でその場で鳴らしていて、音声ファイルはありません。
かかった時間と、人がやったこと
設計書を書いてから、5年目の結末まで遊べる試作ができるまで、約3時間でした(2026年10月16日の午前。Blender の描画もこの中)。そのあと別のAIの点検を2回して直すのに約1時間、記事の校閲と公開は別の日に約1時間です。
人がやったのは、次のことだけです。
- 「もっと売れるゲームを。Blender で」と頼む
- 選択肢から、題材(ギルドの受付)・題名・値段を選ぶ
- 試作を見て、GitHub・note の公開を了承する
設計・コード・Blender のスクリプト・文章・作曲・テスト・記事の原稿・公開の作業は、AI(Claude)がやりました。
設計の要点
- 売れている「見守り型」から借りるのは、ひとりでに動く世界・一人ひとりの一生が伝記で残る・新聞と年表・数字で見せる中身の量。借りないのは、転生や国家の興亡。こちらの芯は「受付カウンターの小さな力」と「町がだんだん育つ」
- 1年=春夏秋冬×30日。1日ずつ進み、大事な出来事で自動で止まる
- 文章はデータとして分ける:性格36・夢14・生まれ30・名前600・依頼113・道中の出来事273・結末の文114・町の出来事153・台詞272・二つ名58・実績65・会話81。数は機械で数え、記事の売り文句にはその数字を使う
- 体験版は1年目の冬まで。2年目からの物語(竜の兆し・歌の石板・竜殺しの剣・襲来)はコードの印(
//#full 〜 //#end)で囲み、体験版のファイルに入れない。体験版の記録は製品版の「つづきから」で続けられる - DLsite 向けには、外へのリンクも外からの読み込みもない版を同じ元から作る(書体は使う字だけにして埋め込む)
絵は Blender で部品ごとに描き、ゲームの中で塗る
冒険者は何百人も生まれるので、1人ずつ絵を用意することはできません。そこで、Blender(bpy・Cycles)のスクリプトで、頭・顔(6表情)・髪(8種、帽子やフードの下の形も別)・耳・しっぽ・服・手・ブーツ・18職業の装備と武器を、同じカメラ・同じ光で1枚ずつ描きました。部品は約100枚(400×560px)です。
部品は灰色で描き、ゲームの中で髪色・肌・服の色を塗ってから重ねます。灰色の明るさを「かげの色 → 基本色 → 明るい色」の3段に対応させるのが、次の部分です(実際のコードを短くしたもの)。
var lo = 0.10, hi = 0.92, mid = 0.55; // 灰色の値の範囲と、基本色の位置
for (var i = 0; i < p.length; i += 4) {
if (!p[i + 3]) continue; // 透明は飛ばす
var l = (p[i]*0.299 + p[i+1]*0.587 + p[i+2]*0.114) / 255;
var t = clamp((l - lo) / (hi - lo), 0, 1);
// t < mid: かげの色 → 基本色、t >= mid: 基本色 → 明るい色
var u = t < mid ? t / mid : (t - mid) / (1 - mid);
...
}
Blender の側でつまずいたのは、灰色の段が明るい半分にしか入らず、塗ると平たく見えたことです。描いた明るさ(EXR)の対数から灰色の値を決めるようにして、ふつうに光の当たる面が基本色、かげが影の色になるようにしました。ドワーフや小人は、重ねた絵を足もとを中心に縮めて小さくします。
隠れた危険:見込みと実際を分ける
依頼には、出発のときには分からない性質(隠れた危険)があります。一行の誰もそれに強くないと、不意を打たれて実際の力が落ちます。受付から見た「見込み」には入らないので、「安全」と出ていた依頼で帰らない人が出ることがあります。
G.SURPRISE_K = 0.85;
G.surpriseK = function (members, q) {
var k = 1;
(q.hidden || []).forEach(function (t) {
// 一行の誰もその性質に強くなければ、力×0.85
if (!members.some(function (a) { return G.strongAt(a, t); }))
k *= G.SURPRISE_K;
});
return k;
};
竜の襲来の強さも、町の守りで決まる一本の式です。D = 1080 − 城壁×30 − 見張り塔×20 − 王都への援軍×40 − のろしの備え30(ふつうの難しさのとき)。これに対する冒険者たちの力の比で、竜殺し・守りきる・敗北が分かれます。
テストは、ボットに5年遊ばせる
- 仕組みの部分は画面なしでも動くように分けてあるので、Node で「600日×seed 4つ」を一気に回し、殉職の人数・裏切りの人数・資金・結末のつり合いを数える
- 画面つきの通しは Playwright のボットが受付をして日を進め、5年目の結末まで(画面ごと・エラーなし)
- 絵の読み込み・音・記録の引き継ぎ・製品版の noindex・DLsite 版に外のURLが無いことは、それぞれ別のスクリプトで確かめる
遊ぶ時間の見積もりも、ボットが止まった回数と受付の回数から出しました(5年の通しで2〜3時間、体験版は20〜30分)。
つまずいた点(別のAIの点検・校閲で見つかったもの)
点検は2回しました。1回目は重いもの2件・中9件、2回目は重いもの0件・中10件・軽いもの約20件。直しが新しい不具合を生むので、1回では終わりません。
記事の校閲(23件)では、ゲームの中身と記事の文のずれが出ました。
- 「A級・S級まで育つ」は言いすぎだった:仕組みで数えると、5年ではS級は出ず、A級も育った人ではなく終わりごろに来る新顔だった。ゲームと記事を「等級を上げ」に直した
- 「隠れた危険」が、実は危なくなかった:コードでは隠れた性質が力を足すだけで、実際はいつも見込み以上だった。上の「力×0.85」はこの指摘で入れたもの。画面の説明とコードがずれたら、記事を直す前にゲームを直す
- 体験版を note のアプリの中で遊んだ人は、記録が続かない:アプリの中のブラウザは Safari とは別の記録になる。体験版のURLにも「アプリの中で開かない」注意を書き、有料部分に「アプリの中で遊んだときの、記録を移すコードの作り方」を足した
- 体験版で「はじめから」を押すと、製品版の記録も上書きされる:同じ記録を使っているので当然だが、書いていなかった
- 竜が来るのは「5年目の冬」とはかぎらない:物語の依頼を進めないと1年ほど早く来る。記事の言い方を直した
売り文句は、仕組みで数えてから書く。これがいちばんの教訓でした。
同じものを作るときの手順
- 売れている作品から「借りるもの・借りないもの」を先に決め、設計書を1枚書く
- 仕組み(画面なしで動く部分)と画面を分けて作り、仕組みは Node で何年分も回してつり合いを見る
- 絵は部品を同じカメラ・同じ光で描き、色はゲームの中で塗る。人数が増えても絵は増えない
- 画面つきのボットで最後まで遊ばせ、別のAIに2回壊させる
- 記事の売り文句は、仕組みで数えて確かめてから書く。ずれていたらゲームを直す
- 体験版と製品版を同じドメインの GitHub Pages に置き、製品版は noindex。DLsite 向けは外へのリンクのない版を同じ元から作る
体験版と製品版
体験版は、ブラウザで開くだけで遊べます(パソコンは横長、スマホは縦向き)。
製品版(5年目の結末まで・エンドレス)は、note「余白の実験室」の記事で案内しています(有料・買い切り)。
パソコンで ZIP を展開して遊ぶ版は、BOOTH でも販売しています(体験版は無料・製品版は880円。中身は同じゲームです)。
※この記事は、AI(Claude)と Blender でブラウザのゲームを作って売るまでの記録です。動きは、パソコンの Chrome と、スマホの画面の大きさにしたブラウザで確かめています。実際のスマホでは確かめきれていないので、お使いの端末で動くかは体験版で確かめてください。同じ作り方の記録に、ブラウザのシミュレーションRPGがあります。



